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糸

Author:糸
はじめまして(o´∀`o)
書きたいことを書きたいときに気ままにうpする場所。完結してたりしてなかったりでごめんなさい。

舞HiMEの静なつSSがほとんどです。そしてパロ多し。静留さんが幸せになるSSしか書いてないですw
拍手は昔潰えましたので、感想やらリクやらはお気軽に記事のコメント欄へお願いしますw リクも気ままに書いてますんで気長に待っててね(*´∀`)←

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示し合うまで辿りつけない……・゚・(つД`)・゚・

















 同居人が突然家を出て行ってから、二日が経過していた。
 最初こそはバイクで放浪するのが趣味だからそんなもんだろうと思っていたのだが、その夜には【自分から逃げた】のではないかという不安に駆られ、もしかしたら帰って来なくなるのではと怯えた。
 夜には差しさわりないメールが届いたけれど、その内容に場所は含まれない。旅行に行ったのなら場所を隠す意味がないのでは?とさらに不安になり、眠れなくなってしまったのでここ二日はろくに寝れていなかった。頭は寝不足でぼんやりを通り越してガンガンと痛みだし、もう勉強どころか食事を摂る元気もない。

 「………うちが嫌んなったんかなぁ……」

 心当たりは、正直ありすぎる。接触に対して嫌悪を抱いていないとはいえ、それでも不愉快になるくらいは抱き着いたり、しまいには無許可でキスまでしたし。暑くて寝苦しいからという同居人にしがみ付いたりもしたし、もう何が悪いと聞かれたら全てが悪いような気しかしてこない。
 帰ってきてくれるだろうか。
 学校を卒業するまではここに帰って来ざるを得ないとは思うのだが、最悪、ここに居るフリをして違う所に家を構えることだってできるだろう。行動的な人だし、そうと決めたのであれば二度と帰って来なくなるだろうと思う。
 昨日のメールを読み返す。

 ≪予定通り、明日には帰る。多分15時くらい≫

 昨日はそれで安心できたけれど、それでもその時間が近づいてくると不安になる。無為に嘘を吐く人ではないと知っているけれど、それでも姿が見えないと何を考えているのか全く分からないので怖いのだ。
 予定通りなら、そろそろ帰ってくる。
 くらい、と言っているのだから多少の誤差はあるだろう。電車かバスかは分からないが、もしかしたら急にメンテナンスとか行先を間違えて乗ってしまい、大幅に遅れることもあるだろう。だからこんなに頻繁に時計を見る必要はないのだと、そう自分に言い聞かせてから携帯を置いた。
 早く帰ってきて欲しい。
 なつきの事だから、当然という顔をしてお土産を持って帰ってくるだろう。そう思いはするのだが、けれど心に残る【もしかして】が拭えない。

 「…………あかん、しんどい……」

 これが恋心なのだろうか。居ない時に不安に駆られると何かの媒体で知っていたが、ここまで心労の激しいものなのか。このままでは不安で死んでしまうと、同居人に手を引かれた東京の空港を思い出す。
 これなら、なつきがおらん方がしんどいわ……。
 と、玄関から鍵を開ける音が聞こえた。咄嗟に時計を見れば、うじうじとしている間に三十分ほどが経過している。

 「ただいまー。ごめんな静留―、あ、これお土産」

 ドカドカと足音を鳴らして紙袋を携えていた。リビングの机についている自分の姿を見て、その紙袋を掲げている。
 自分の心にこべりついていた暗い想像は、朗らかな表情で自分にただいま、と言ってくれた同居人でかき消えた。

 「おかえりやす!!」
 「え?……うわ、ちょっ」

 思ったよりも声が大きくなって、歓喜の悲鳴を上げる心に従って飛びついた。リュックを背負ったままのなつきを抱きしめれば、ここ数日で枯渇していたなつき分が一瞬で補充され、そうして心から安心できた。

 「お、落ち着け?どうどう」
 「なつきーなつきー、どこ行ったはったんよぉー」
 「だからごめんて。というか静留、くま酷いけど寝てないのか?」
 「なつきがおらんと寝れんかったんどす」
 「いつの間にお前の依存度が振り切ってたんだ……」

 紙袋とリュックを置いて、それからなつきが抱きしめてくれた。
 たったそれだけの事がこんなに嬉しいというのに、どうして分からないのだろうか。昨日はご飯を作る気力すらなかったのだと言えば、心配してくれるだろうか?いや、微妙な顔をされそうだ。
 頭を撫でられ、安心感からか眠気が襲ってくる。あれだけ寝ようとしても眠れなかったというのに、どうしてなのだろう、こんなにすぐに眠くなるのは。

 「ごめんなー………あれ?静留?重いぞ………静留?………え、もしかしてこのまま寝たのか?静留?おーい………」

 なつきに身体を預けたまま、意識がかすんでいく。ベッドに行きたいなと思った頃には、いつの間にか意識がなくなっていた。


 ◆


 目が覚めれば、自分は自室のベッドに収まっていた。窓の外は暗くなっており、壁掛けの時計には午前二時という中途半端な時刻が示されていた。二日分の睡眠を夕方前からとったのだと納得して、それからリビングへ向かった。
 真っ暗で、誰もいない。
 それはそうだろう、こんな時間に起きていることなど普段はない。自分に合わせて規則正しく睡眠をとってくれるようになった同居人は、たとえ帰って来ていても寝ている筈。そう思い至って隣の部屋へと侵入するが、そこは自分の予想を裏切って誰もいなかった。
 暗い部屋で、カーテンの隙間から街頭の光が少し指している。その光を頼りに目を凝らすが、ベッドに人がいるようには見えない。

 「………なつき?」

 もしかして、帰ってきていない?
 安心して寝た気がしたが、あれは夢で、現実には帰ってきていないのだろうか。

 「………!」

 頭にめぐっていた血が、一度に降りた気がした。
 不安が現実になってしまったという絶望。やはりなつきに愛想をつかれて出て行かれたという事実。そうして導き出されたのは、自分が一人になってしまったという事だった。

 「嘘、やん……」

 あの同居人なら、そんな事はしないはず。嫌になったらちゃんと正面切ってそう告げてくれるはず。そうしてもしも出て行くと言われたら、自分はどんな事でもして許して貰うと決めていたのに。
 帰ってこない。

 「…………っ」

 思わず、立ち竦んだ。















 ◆


 「………さむい」

 さっきまで横で寝ていた静留が出て行って、暫くが経った。横でもぞもぞしているのでトイレでも行くのだろうと夢うつつに見送ったが、布団を開けたまま帰ってこないので眠れなくなってしまった。
 そろそろ夜は冷える。もう秋だし、夜は暖かくしているべきだ。普段二人で寝ていると自分に触れていないところも暖かくなっているから、こうして寒さで目が覚めるのは布団を奪われた時だけだった。
 というか、静留はどこいった?

 「風呂でも行ったのかな……ふぁ…」

 夕方に寝こけたから、今から風呂にでも行ったのだろうか。もし自分であればそうするであろうそれを想定して、そこまで考えてから目が冴えてしまったので二度寝を中断した。こうなったらまた眠くなるまで起きているしかないか、と諦めてリビングへ向かう。
 しかし、暗い。
 電気くらい付ければいいのにと相手を探すと、自分の部屋のドアが開いていることに気が付いた。静留が勝手に部屋に入るのは珍しい事ではないが、不思議な気持ちになってそれを覗き込んだ。
 静留の背中が見えた。なんか怖い。
 なんでこんな暗い中に突っ立ってるんだろう……。

 「静留?電気くらいつけろ」

 そういって部屋の入口にある電気のスイッチを押せば、呆けていたらしい静留が凄い勢いで振り返った。明るい所で見れば怖くないと思ったが、その表情が異質すぎてさらに怖くなった。目を見開いて、口元を戦慄かせている。

 「ええと、なんか、邪魔したか?」

 これは近寄りたくないと、そうっと後退してみた。が、やはり静留がアタックするように飛びついてきて逃げられなくなってしまった。

 「なつき!」
 「ぅわぁっ!!」

 この遣り取りを数時間前にもした気がしたが、それでも驚くものは驚く。腰が引ける相手に飛びつかれて、相手を知っているのにも関わらず悲鳴を上げそうになった。

 「どこ行ったはんたんよぉっ」
 「お前の部屋で一緒に寝てたんだが?……えっ」

 人の首に手を回して、同居人が泣き出した。
 胸元に広がる染みに一瞬だけ涎だろうかと現実から逃避を試みるが、鼻をすする音が聞こえてこれはマズイと狼狽えた。

 「ええええと、どうした?居ない間に悲しい事でもあったのか?それとも置いていったことを怒ってるのか?」

 しゃっくりまで出始めたではないか。
 泣いている人間を泣き止ませるなどという経験がない。とりあえず抱き着いてきたのだから抱きしめて頭を撫でてみるが、絡みつく腕の力が強くなるだけで泣き止む気配がない。これはどうしたものかと困り、そうして出来ることもないまま姿の見えない時計の音を聞いていた。


 ◆


 「は?私が帰ってこないと思った?なんで?」
 「………せやかて、なつきが行先も教えてくれんし、急に荷物もって出ていかはるし……うちが嫌になったんかなぁて、思て……」
 「旅行に行くと言った気がするんだが……嫌いも何も、私がお前をどう思っているのか確かめに行ってただけだし……」
 「ちょぉ、そこ詳しく」
 「また明日な」
 「なんでよっ」
 「先に顔洗ってこい」

 泣き止んだ静留に冷蔵庫にあったミネラルウォーターを出して、それから何故泣き出したのかと聞いてみればコレだ。ここ二日ずっと不安になって、そして起きたかと思えば自分の姿が見えなかったので帰ってきたのは夢だと思ったらしい。
 なかなか想像力が逞しいことは分かった。
 薄くなったとはいえクマは残ってるし、涙が渇いて跡になってしまった静留を風呂へと送り出し、言われた事を反芻する。たった二日居ないだけで、こうなるのか。

 「……あんな、なつき」
 「ん?」
 「一緒んお風呂はいろ?」

 送り出した筈の静留が、脱衣所から顔をのぞかせてそんな事を強請った。居ないと寂しくて不安になると言っていたから、シャワーと言えども一人にはなりたくないらしい。
 この状況に何を思えばいいのか分からないが、それでも自分のせいらしいので責任は取って然るべきなのかな、なんて適当に考える。自分が悪いとは思わないが、それでも感情が暴走してしまったのも静留が悪いわけではない。

 「先入ってろ。すぐ行く」
 「おおきにっ」

 自分のたった一言でこんなに喜んでくれるのだ。
 ようやく笑顔を見せた同居人を思いつつ、その後を追った。


 ◆


 「なつき、洗ってあげますえ」
 「私は夜に浴びたし、大丈夫だろ」
 「ほなうちん身体洗っておくれやす」
 「なん……だと……」

 数時間前にシャワーを浴びたばかりだという事で、髪の毛を上で束ねて湯の張ってない浴槽に避難していた時だった。縁に腰かけて静留が洗い終わって上がるのを待ってればよいと思ったのだが、その静留がタオルを差し出して笑顔でそんな事を宣った。
 背中を流して貰ったことはある。
 が、人間を洗った経験などないぞ?

 「なつき」
 「あ、ああ……」

 渡されたタオルを見て、とりあえず泡でも擦りつければ良いだろうという結論に達した。湯気を感じていたから寒くはなかったが、お湯をかけられて気持ちいいと感じた。やはりシャワーは二人で入るものではないなと思いつつ、ボディソープを付ける。
 自分の使っているものではないそれ。たまに一緒にお風呂に入るから、それの色も匂いも知っている。けれどこうして泡をたてるのは初めてで、自分のそれとは少しだけ違う肌触りに興味を持った。

 「洗ってくらはる間、お湯溜めとこか」

 自分の肩に触れた静留が、気遣ってくれたらしい。正面にあった鏡に背を向けて、静留が嬉しそうに腕を差し出して来た。

 「ほな、お願いしますえ」
 「………まさかと思うが、全部か?」
 「もちろんどす」
 「…………」

 どうしてこうなった……。
 正面で座る静留をチラリを見やる。洗っている姿をまじまじと見たことなどないし、一緒に湯船に浸かっている時は見えないそれらが晒されていて、無駄に大きい脂肪の塊やら色のついたソレやら、見てはいけないようなモノが視界に映った。
 見えない見えない見えない。

 「なつき、もうちょぉ力入れておくれやす」
 「……このくらいか?」
 「おおきに、気持ちええわぁ」

 両腕を洗って、それから肩。首筋を洗えば静留が身をよじって、そうして胸部にタオルを押し付ければ顔を真っ赤にしている。
 何も見えないのだと心を無にして乗り切れば、こちらは無駄な肉の付いていないお腹へ、そうして太ももへと降りて行く。手先で立ち上がるように指示すれば、静留は恥ずかしそうにしながら立ち上がり、内またで自分を見ていた。
 恥ずかしいなら、こんなこと言うな!
 見てはいけないところが眼前に現れたが、そんなもの見えない。ここに生える体毛は髪の毛と同じ色をしているんだなぁ、なんて決して思ってはいない。

 「なつ、き……ぁんっ」
 「変な声を出すなっ」

 太ももからひざ裏に至って、上から聞こえた声も無視した。今度は座るように促して、それから足先をざっくり洗った。不安にさせたのは申し訳ないと思うが、ここまで奉仕して許しを得なければならないのだろうかと、自分の今に疑問を覚えた。

 「次、背中な」
 「はい」

 くるりと回った背中に、少し安心した。背中なら見ても問題なさそうだし、静留に見られながら身体を洗うなんていう拷問も緩和される。肩甲骨ってこんな形だったかなぁと思いつつざっりく洗えば、嬉しそうな顔をした静留が向き直った。

 「おおきに。気持ちよかったえ」
 「それは良かったな」
 「なかなか興奮しました」
 「それは口に出さないで欲しかった」
 「足ん間も洗ってくらはる?」
 「それは却下する」
 「いけず」

 そこは、あれだ。疎い私でも知っているアレがある所の筈だ。生理で経血が出るアレがあって、産道とか、そういったアレがあるはずの場所だ。触るなどとんでもない。
 半分未満に溜まった浴槽に浸かって、泡を流している静留を見る。
 見てくれはいいのに、中身がなぁ。

 「どないしたん?もしかして、うちん身体に興味あります?」
 「いや?プロポーションはいいのかなぁって」
 「あら、褒めてくらはるん?なつきやったら好きにしてええんよ?」
 「そこまでの興味はないな」
 「うちはなつきん身体を好きにしますけど」
 「受かったらな。……落ちればいいのに」
 「酷おすなぁ」

 泡を落とした静留が横に収まって、ようやくお湯が肩へと届く。当然のように胸を押し付けて抱きしめてきた静留に、さっきまでの悲壮感などなくなっていた。










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